「イヌは興味がある物に対しては、嗅覚だけでなく、自らが持ち合わせる全ての感覚を持って、情報を収集する」
犬との暮らしにおいては、常時、側に犬がいる。いつの間にか彼等の存在は私たちにとっての空気のように、当たり前の存在となっていると表現しても言い過ぎではないだろう。
しかし、飼い主にとって理解しがたい犬の行動については、「しつけの本」を購入する、インターネットで情報を収集する等、私たちはどうしても頭を使おうとする傾向にあるようだ。
たしかに動物と人間には共通点が沢山ある。事実、「動物が進化して、人間に辿り着いた」とダーウィンの進化論上でも説明されている。だが実際は、共通言語を持っている人間同士でさえ、異性の考えが理解できないケースは多々ある。その様なときによく言われるのが「違う人種だと思え」である。つまり、男女は進化上、
異なる脳の発展を経て、個々の進化を遂げてきたのであるから、相手を一方的に否定するのではなく、考えが別の生き物だと理解し、「受け入れる」ことから始めよ、という意味である。
「異性との付き合い方の本」というのを少年時代に読んだ覚えがある。しかし、今思い返してみて、「あの本は役に立った」と確信を持てることは何も思い当たらない。頭に情報は沢山入ったかもしれない。しかし、それは現場判断を鈍らせたに過ぎない。一番信じられたのは「好きだ」という自分が持ち合わせる感覚だけだった。
「しつけ」を考えるとき、まずはイヌを知ろうとする方は少ない。多くは「お座り」「伏せ」、そして「トイレ」を教えること等を「しつけ」と認識される方が多いように思う。違う動物を頭で考えてコントロールしようと努めても、そう簡単には動物は受け入れてくれない。第一彼等は、頭で考えて行動を選択していない。常に「感じる」事を最重要視し生きている。
そこで
、頭で考えがちな私たちも「感覚」を意識することで、いかに犬との暮らしが心豊かになり得るか?をお伝えすべく、今回はトレーニングとしてではなく特に「香り」をテーマにしたセミナーを担当した。しかも、日本の食文化「蕎麦」を食べながら。
「喉で味わう香り」と言われる蕎麦。今回は、犬にとって「香り」がいかに重要であり、面白い感覚であるか?を想像していただいた後、実際に各々ディナーを食べながら、蕎麦のもつ香りを五感全て駆使し愉しんでいただいた。
終了後のアンケートでは、「ただ単に、犬の事を知るのではなく、そこで感じた感覚が、自分自身が変われるきっかけになる…そんなセミナーでした(38歳・女性)」といったコメントも頂き、本セミナーを担当させていただき、本当によかったと心から思った。
今後も、既存にあるアプローチとは異なる形で、イヌの事について感じていただけるセミナーを企画していきたい。犬は飼っていないが犬が好きという方にも足を運んでいただけると嬉しい限りだ。
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日時:2010年7月17日(土)
会場:ソバテリア代官山
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町16-2 代官山八幡ビル2F
http://www.sobateria.com/
<アジェンダ>
・海外と日本の犬文化における考え方の違い
・犬種の特性の面白さ
・匂いとビジョンの世界の違い
・嗅覚の世界を想像する
・【デモ】トリートの使い方
・実食(イヌの第二の嗅覚を意識しながら)
・まとめ
(10.07.14)