30.犬の個性

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自分の犬の事をどれほど理解し、観察出来ているだろうか? 一般に、犬をみるとき(判断するとき)は、まずその犬の所属するグループと、その犬種を基準に判断する。例えば、牧羊犬は体力・洞察力ともに、常に優れており、そのエネルギーを発散させるためには、飼い主もかなりの運動量が必要だ。一方、愛玩犬にくくられている犬種は「つい抱きたくなる」かわいさを持ち合わせている。 「何かしてあげたい!」と思わせる魅惑がある。そのかわいさとの戦いも楽しみのひとつ。 本屋さんに行くと、犬種ごとのしつけ本が置いてある。実際に手に取ってみて「?」と感じた人も多いのではないかと思う。犬を飼ってみて、分からないことがたくさんあるから、とりあえず何冊か本を買ってみる。しかし、どれも違うことが書いてある。だから、そういう本は売れる。これは「支持される」と言う意味とは遠いけれど、これらは、定石となっているようだ。 たとえば、ふるさとの小学校の時の同窓会に参加して「みんなそっくり」なはずがない。みんなそれぞれ、見た目も性格も、仕事も趣味も違う。「でもさ、みんな同じ空気はもってる」ということは言えるかもしれない。 犬は、もともとの「資質・特質」と「パーソナリティー」双方のバランスによって成り立っていると言える。例えば、ミニチュアダックスは胴が長く足が短い。そして吠えやすい犬種ではある。これが前者。しかし、これは、必要十分条件にはならない。 何度も言ってきているが、もともとの「資質・特質」に加え、生まれてから生後6ヶ月弱までの「刷り込み」と「社会性」が、パーソナリティーを形成する。これが後者に当たる。この期間ほど大事な時期は一生涯にない。ここについて責任を持って楽しんで欲しい。こんなに贅沢な時期はないのだ。 では、あなたがどれほど自分の犬のことを知っているか?チェックしてみてほしい。私は、ここに、FIDO の「資質・特質」について記載したいと思う。 German Pinscher は、テリアグループに含まれる。テリアというと、勝ち気で落ち着きがなく、エネルギッシュというイメージを持つかもしれないが、これも「傾向」はある程度。彼の皮膚は面白い。ひっぱると、もの凄く伸びるのだ。本人も痛がらない。。 何故か?実はこれについては、ドーベルマンとの繋がりがある。ガードドッグ(護衛犬)としてブリーディングされてきた犬種であるため、噛まれたりしてもケガの度合いを軽減するという理由があるのだ。確かに、皮膚が伸びず、皮下が直ぐに肉体だったら致命傷になるだろう。 ちなみに、彼をシャンプーするときは片手でしっかり彼の皮膚を持って、もう一つの手でゴシゴシしなければ、シャンプーにならない。犬たちの個性を引き延ばしてあげることも「しつけ」だ。 犬種や見た目で決めつけず、小さいつぼみかもしれないけど、そのつぼみを理解して育むことが出来れば、その花はあなたにとって、これ以上ない華麗さとして映るに違いない。 この仕事に就いていると「どれぐらいトレーニングしたら問題はなおりますか?」と、よく聞かれる。 その答えは「今現在の、あなたと愛犬との距離次第」とも言えるのかもしれない。私は、距離を近づけるためにも、その犬のことを、さまざまな観点から観察し、生まれながらもっている「つぼみ」という「個性」をひとつでも多く見つけてあげたいと思っている。 その為なら、努力を惜しまない。 (05.11.15)