40. 共に

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“Crew required” この仕事について初めて共に夢を追いかける仲間を募集したいと思っている。 1998年当初、私は「調教師」「ブリーダー」「犬の人」・・・なんて、周囲から呼ばれていた。あの頃はまだ、犬のしつけの重要性とその難しさについて、今ほど認知されていなかったのだと思う。だから私は「ドッグトレーナー」という呼称をさけ、犬だけではなく飼い主もサポートする「ドッグ・アドバイザー」と言った。 あれから、8年。今やドッグトレーナーと呼ばれる人や、ドッグアドバイザーとして活躍される方を多く見ることが出来るようになった。 それは社会がトレーナーを必要としている証拠であろうし、その依頼に応えることが出来るトレーナーが増えると同時に、認知されてきているということでもあろう。 私は、この仕事に携わるものとして、この「社会から必要とされている」「認知されている」という感覚が重要だと思っている。 海外のシェルターについて、以前他社の雑誌で執筆したことがあるが、特に NY のシェルターは素晴らしかった。何が素晴らしいかって、そのシステムが合理的で素晴らしいのだ。通常「シェルター=かわいそうな場所」と思われがちな保健所と呼ばれる施設。だが、NY では一般的に「週末だから、子供を連れてシェルターに行こうか!」といったような声を耳にすることが出来る。最初シェルターの犬にあったとき、ないている様子を目の前にした僕は「かわいそうだね」と口にし、すぐさまスタッフに訂正された。「この犬は、十分な運動と、たっぷりの食事をもらい、そして、今から新しい家族に出会える、とってもラッキーな犬たちなのよ!」と。その時、スタッフの顔は笑顔で一杯だった。 寄付金に税金がかからないNY では、様々な企業から寄付金が寄せられ、コミュニティーとしても地域に密着しているため、ボランティアで、多くの人が心地よく働いている。そこには、プラスの気が満ちていた。 また、シェルターには動物病院と、ペットショップが隣接し、まさに「システム」ができあがっている。犬のアダプト(里親になること)を希望すると、まずは面接がはじまり、その人がどの様な生活環境で、どのくらいの経済力があるか?査定される。見事面接をクリアすると、その犬が保護されてからかかった費用を本人が支払う。また、その犬が食べていたフードやクッション等のグッズを、そのペットショップで購入していく。 それほど、経営的にも内容的にも素晴らしいほどにシステム化&地域密接化が出来ているにもかかわらず・・・私には一つ疑問が残った。あなたはどうだろうか? プラスの気で充ちたシェルターには、多くの犬が集まり、そして出逢いを求めて人が集まり、お金も集まり、システムも完璧だ。だのに、何故? そう、何故、未だに捨て犬が減らないのか? 事情はどうであれ、一度家族から捨てられた(見捨てられた)犬は、心に傷を負う。その傷は、一生消えることはない。しかし、「その犬の全てを受け入れる」という慈悲の気持ちを持って、アダプトするものの、新しい生活環境と家族に順応するには、想像以上の忍耐と時間が必要だ。さらに、一度アダプトされた場合、その犬の心のケアーに、家族のさらなる努力が必要だ。その難しさからか?またシェルターに戻ってくる犬も少なくない。やっとの出逢いだったからこそ、二度とその家族が犬を捨てなければ、この世の捨て犬の数は、必ず減少に向かうでに違いない。その為には、犬をペットとしてだけではなく、心のケアーも踏まえたアドバイスを家族に出来る人、犬についての知識を教授するだけではなく、家族の生活環境や生活スタイルを踏まえ、しっかりと伝達できる人の存在が必要になる。それこそが、我々ドッグトレーナーの役割なのではないか?と私は考えている。もちろん、システムをそのまま日本に持って来ることが最善ではない。日本には日本ならではの考え方とスタイルがあるはずだ。しかし、いづれにしても、頭でっかちなトレーナーよりも、私はハートと技術・知識を兼ね備えたトレーナーに、これからの日本の犬社会の「光り」を感じる。 現在、様々なトレーニング方法が存在しているが、私は方法論について協議するつもりはない。何式であろうが、何処生まれのトレーニングであろうが、効率よく効果を導き出す事が出来、それが社会に貢献できるのであれば、やり方自体は、どうでもいい。ただ、人には「相性」と言うのがあるので、いろんなタイプのトレーナーがいるべきだ。目指す方向性と、ハートが同じであれば、その表現の仕方に縛りはない。 実際、トレーナーの仕事というのは、体力と知力を要するハードワークだ。それに加え、人一倍の配慮と熱い思いが必要でもある。ドッグトレーナーという仕事に誇りを持ち、これからの社会に「光」を持たせられるような熱いハートの持ち主と出会いたい。そして、「想い」を共有して、さらに大きなエネルギーにしていきたい。 犬が好きだから、犬の仕事に就きたい。それもいい。でも、せっかく自分にしかできない仕事に出会えたのだから、その喜びをさらに大きなものにしたい。そしてそれを仲間と共有し、それが社会から支持されているとしたら・・・こんなワクワク感を、Crew と共に、私はこれからも追い続けていきたい。 Crew required DOGSHIP INC では、本船に乗船する Crew を募集します。溢れんばかりの「思い」と「想い」の表現の場を探している方、DOGSHIP desk information までお問い合わせ下さい。 (07.01.17.)