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2008年
12月20日

58. Change

“I have a dream(私には夢がある)”

黒人指導者マーティン・ルーサー・キング牧師が 演説してから45年。米民主党のバラク・オバマ候補が米国初の黒人大統領になることが決まった。

オバマ氏の演説を通して感じたことを一言でいうならば・・・「同じ視線・同じ立場」だった。昨今の日本の政治をみると、どうも政府と国民との間に温度差を感じずにはいられない。今回の「給付金」という表現から感じたのは「民=下々」という発想だった。一方、オバマ氏は “Yes, we can.”といった。 それを聞いて、本当に何か実現しそうな気がしてきた。自分達にも何か出来るような気がしてきた。自分に何ができるか考える気持ちになった。

現在、私が研修を担当させていただいている「マース ジャパン リミテッド(以下マース)」という企業。こちらでは、ペットフードの開発と販売を行っている。研修を担当するにあたり、マーケティングの方や技術・開発の方々と実際に接し、話をする機会があり、私は「メーカーにもこんなに真剣に動物のことを考えて仕事をしている人もいるんだ」と、驚いた。ここ数年ペットフードについて疑惑的事件もニュースになっていたが、彼等は企業だからこそ出来ることを模索・研究し、家庭犬の明日の幸せを思い、ペットフード開発・販売のプロとして商品を提供し続けている。そして近年、枠に当てはまらない活動に邁進しようとしている事を知った。真面目に、これまでの業界の体勢をもっといい方向に「変えていこう」としている企業に出会えた。護りに入らず、新しいものを創造し、確たるメッセージを伝えようとしている企業がある。そして今年、この企業と新たな試みに挑戦しはじめた。

この秋、大手外国車メーカー「フォルクス ワーゲン」のイベントにおいてステージを担当させていただく機会があった。場所は富士の裾野「Fuji Speedway」だ。車のイベントで犬?と疑問が湧くのも無理はないが、実際の依頼というのは、車に興味があるお父さんではなく「残された家族」が楽しめる企画についてであった。毎年、お父さんが車に夢中になっている間、子供やお母さんも参加できる企画を考えてこられたようだが、最近課題になってきたのが「犬」の存在。数年前と異なり、今や犬は「家族」として扱われ、その「残された家族」に「犬」も加わるようになってきた。

通常犬の入場が不可の Fuji Speedway。高速で走る車の騒音は人間の何倍もの聴覚を持つ犬にとっては想像を絶するものだろう。ところが、今回のイベントではそれほど大きな音もしないということで一般の家庭犬の来場が許可された。ただ犬の来場が一般的に認知されていないだけに、当日どれほどの数の犬がやってくるか?分からない。だから、犬がいても、犬がいなくても子供達が楽しめる企画内容の提供に努めたのだった。

数年前までは、車のイベントで犬のステージを担当出来るとは予測しえなかった。時代と共に、家族の在り方も確実に変化しはじめている。その変化にこの業界に携わる我々自身も気づかなければならない時がきているのではないだろうか、ふとそんな気がした。

そしてこの冬、JKC 主催のイベント「ジャパン ドッグ フェスティバル 2008」における協業のオファーをマースから受けた。

JKC とは「社団法人 ジャパンケネルクラブ」の略で、公式ウェブでは「純粋犬種の犬籍登録、血統書の発行、災害救助犬の育成、犬の正しい飼育指導、ドッグショー、訓練競技会、アジリティー競技会、フライボール競技会などの開催、愛犬飼育管理士、トリマー、ハンドラー、訓練士の公認資格の認定などを行う公益法人です。」とある。

私の今の環境と JKCという組織体の間の何処に接点があるのだろう。

「セント・トレーニング」は互いのコミュニケーション構築のためであり、あえて「災害救助犬」の育成は目指していない。

「しつけ」についてもトレーニング担当しているが「飼育指導」はどちらかというと対犬というよりは対人の比率が高い。

「訓練」は行うが「競技会のため」というより「実生活のため」というイメージが強い。

「アジリティー」も好きだけど、こちらも「競技会」というより「楽しみ」主義。

そして、私は JKC の訓練士公認資格は持ち合わせていない。

しかしながら、これからの日本のよりよい犬文化を思い、さらには飼い主の一人一人が犬との暮らしを幸せにおくれるよう活動する、というビジョンは同じだと信じたい。

JKC といえば、今日の日本の犬文化の基礎を築き上げてきた功績と歴史ある組織であることは周知の事実だ。そして今回のイベントにおいて一般の飼い主が各専門分野のプロを見て、触れてもらうことで「伝統は守るのではなく共有するもの」というメッセージ性を含ませる事が出来ないか?これからの日本のより良い犬文化を構築するために、まずは業界に「変化」をもたらす。今回のオファーを下さったマースの狙いはそこにあるに違いない。

今回私が担当するのは「しつけ教室」ではない。来場された方々が犬という動物を違う視点から見たり、飼い主自身が「気づき」をもたらすことが出来るような企画内容を期待されている。飛躍しすぎるかもしれないが、来場された方々が愛犬を今以上に大事に育てようと感じて下さるだけで、世の捨て犬は確実に減る、と信じたい私の思いがそこにある。

先日の雑誌に「犬ビジネスの闇」というのがあった。たしかに犬の業界は「グレー」という人もいるが、事実として誠意を持って勤めている人も多くいるのは知っている。そして私は時代の変化の中で、希望の光となる活動に「仲間」と呼べるプロの方々と共に携わっていきたいと思っている。私自身も、小さくていいから帆船を前に推し進められるような風になりたい。きっと、そんな小さな帆船が無数に集まれば、大きな力となり、その船首は犬にも人にも幸せな暮らしへと向けられるに違いない。そう信じて、本船の舵を取る。

(08.12.20)

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