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2006年
01月12日

33.Bobby

「素敵だね」って言われて嬉しくない人はいないだろう。

言葉の意味は多岐にわたり、取り方次第では、言った側と言われた当事者には、大きな隔たりが生じる場合がある。

最近私は友人と共に、プライベートでワークアウトのレッスンを受講している。クラスを担当するインストラクターは、元アメリカ諜報部員で、体育学、臨床心理学など11個のPh.D(博士号)を持つトレーニングの権威、通称 Bobby。内容は、自分の体について、科学的・医学的・動物学的・宗教学的・物理学的・心理学的・・・等、あらゆる観点からプログラムされたトレーニングである。

ドッグトレーナーという仕事、少なくとも自分の体のことも分かっていなければ、イヌのことはもちろん、飼い主の気持ちなど汲む事は出来ないし、説得力もない。だからこそ、まずは己の体を見直してみたいと思い、週3回通っている。

また、Bobby は「人間の体は人一様、万人それぞれ作りが違い、管理の仕方も千差万別。だからこそ、トレーニングについても、一人一人に合ったプログラムがある」という。実際、一緒に受講している友人と自分の体のつくりは異なり、僕は友人のような体格には到底なれない。しかし他と比較する必要もない。自分の特性をきちんと理解し、自分自身と向き合えすればいいのだ。

これは、私がドッグトレーニングに想う事とまさに同じである。そして、さらに家庭犬のトレーニングの場合、それぞれの犬種の違いに加え、幼少期の社会性と生活環境、そして何よりも飼い主の考えと生活環境等、様々な事象が起因する。だからこそ、それぞれのトレーニング・プログラムにマニュアルなど実際存在しない。

Bobby の観点は自分にとって非常に刺激的であった。ひとつの事象に対し、宗教・科学・歴史等の事象が出てくる。そして全てがリアルだ。「なんとなく・・・」という言葉は出てこない。「今日はいい感じだね。じゃぁ負荷を上げてやってみようか」なんて、その日のフィーリングでの指導など決してしない。頭(脳)というのは、非常に頑固で、これまでの自分の常識や習慣、ライフスタイルからなかなか脱却出来ないのだという。

つまり、自分の勝手なフィーリングで「今日はイケル」と思いこんだトレーニングはオーバートレーニングを引き起こす可能性があり、このオーバートレーニングこそ、トレーニングを行うに際して一番の問題になるのだという。

一方、心臓は違う。心臓は常に体の状態に合わせて反応し、そこに虚偽は存在しないのだ。頑固な頭脳とは相反する。その日のフィーリング等に関係なく、正直な自分の状態を表すと同時に、我々も現状を的確に把握出来る。だからこそ、彼は、この心臓が表す「心拍数」を常にチェックしてトレーニングを遂行する。

ここに、私が大いに合点する部分がある。これまで自分はトレーニングを担当する際、飼い主の方と犬とのコミュニケーションが「前回よりもどれほど、とれるようになったか?」自分が受けたフィーリングついて整理して伝えてきた。

しかし、懸念すべき点は、自分が100点満点中50点良かったつもりで伝えてたつもりだったのに、受け手が80点良かったものと理解してしまったらどうだろう?レッスン後の明日、明後日以降、飼い主の方が実際に愛犬とのコミュニケーションにつまずいた際、きっと飼い主を「がっかり」させてしまうに違いない。

「私たちは出来なかった」と。

つまり伝わってしまった「過大評価」が結果的に飼い主の方の前向きな気持を台無しにしてしまう可能性があるのだ。これはトレーナーとして絶対に避けなければならないと思っている。その為にも、今日が前回よりも「どこが・どのくらい・どのように?」よくなったかを具体的に、そして適切かつ正確に、分かりやすく説明することが、トレーニングの質を高めることに繋がると、私は考えている。

まだまだ未知の世界である「犬の世界」。今日現在、すさまじい犬ブームと共に、戌年も追い風になり、色々なところで犬の雑誌、番組、イベント等・・・を目にする。そんな中、私は我々トレーナーと呼ばれる職業に就く者としての社会的な役割とは?といつも考える。情報はいたるところで入手出来る。お座りのさせ方、遊ばせ方、トイレの教え方、、、そこでの、自分の存在価値は?何が出来るのか?どの様にしたら、社会に貢献出来るのか?

Bobby は、人間の体のことについて、あらゆる観点と視点を学術的に、自分というフィルターを通して説明してくれるからこそ、僕は彼から説得力と安心感を得ている。何よりも指導している Bobby がいつも「素敵」なのだ。情報が氾濫している時分、私は、あらゆる視点から、その犬と飼い主の方のケアーとサポートを正確に出来るよう、これから、様々な観点とインディビジュアルな状況を把握したトレーニングに努めていきたいと思っている。

もちろん、これらが簡単なことではないのは分かっている。当然だ。でも私は「素敵」さを、もっと適切に伝えるために、一杯の気持ちと誠意で努めていきたい。

「素敵」な「飼い主と犬」と「自分」に出会うためにも。

(06.01.12)

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