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2005年
10月03日

21.シェルター

「保健所」
今日現在「今度の週末、保健所行こう!」と口にする人がどれほどいるだろう?

New York にある、シェルター(保健所)には、週末はもちろん、平日でも多くの人が訪れる。 そこには、里親を捜している犬が近郊から常に集まってくる。純血種もいれば、子犬もいる。そして、施設自体が、非常にキレイで、何よりもスタッフの人の表情がいい。

まずは里親が決まるのを待つ犬たちに会いに行ってみた。一頭一頭見ていくに従って「寂しそうだね」と言葉を発した私に対して、シェルターのスタッフが、 「この子達は、十分なご飯と、十分なお散歩をして、そして新しい出会いを待っているのよ。だから凄く幸せなの」と、コメントを突き返すように即答した。

これまで自分が持っていた勝手な保健所に対するイメージを覆された。

そこで働いている人々は、みなボランティア。ここにいなかったら、自宅でテレビを観ながらせんべいを食べていてもおかしくない感じだが、この施設でイキイキと動物たちのケアーをしている。それほどまでに施設の雰囲気がいいのだ。なぜならば、シェルター自体が「経営」のためだけではなく、コミュニティーとしても、しっかりとした「使命」を持って活動をしているからである。

New York のそういった施設には、年間40億といわれるほどの寄付金が寄せられるらしい。 New York では、寄付金(ドネーション)に対して、課税がされないというのが一つの理由でもある。そして、そういった社会的に「いい活動」をしている団体に対して寄付金をすること自体が、それぞれの会社のメリットとなるらしい。

“Win x Win” という素晴らしいシステムが成立している。また、施設には動物病院とペットショップが並列していた。引き取られていく犬やネコは、事前にここで去勢と避妊の手術を受け、里子を受け入れることを決めた里親は、その子が施設に滞在中かかった食費をアダプト代として支払う。そして引き取るに当たっての必要なグッズを、ここのペットショップで購入する。こちらも、素晴らしいシステムだ。しかし、私はどうしてもひっかることがあった。

そこで、New York Animal Human Society で多くの動物たちを救っている Dr, Soeda に相談した。彼も同じように「シェルターの役割」について考えていた。平日でも人が足を運ぶほど、多くの犬が集まり、そこには子犬もいる。では、一体「シェルターの役割」とはなんなのだろう!?結局は、捨てられている犬の数は変わらず、それどころか、減っていない。

シェルターとは、新しい出会いだけをサポートするだけでいいのか?新しい家族との出会いを待つ犬のケアーだけでいいのか?それでは、保健所はただの「捨て犬の受け皿」でしかすぎない。捨て犬を減らすためには、いや「ゼロ」にするには、さらに、新しく犬を迎え入れる家族が、二度とその子を捨てることがないように、里親に、しっかりとした意識と責任感を持ってもらう必要がある。そういった里親の指導も、今後のシェルターの役割じゃないだろうか?

また、その時「犬はこういう生き物です」という指導の仕方だけではいけない。なぜならば、新しく里親になる方の生活環境、ライフスタイルによっても、「しつけ」の形態はことなるのだから。さらに、一度家族に捨てられた犬なだけに、その犬の心の傷もケアーしなくてはならない。でも、どうやって?

これを出来るのが、私たちが目指す専門家の姿に違いない。

捨てられた犬たちには、前の家族で何らかの理由があって捨てられたはず。まずは人間が言う「問題行動」というものの改善に努め、さらに、里親になるそれぞれの方々が、きちんと里犬とのつきあい方を納得・習得して新しい生活を送れるためのサポーターが必要だ。

一般の家庭犬に対しても同じだ。犬についての知識を語るだけだったら、少し勉強すれば出来る。これからは、その犬を理解し、かつ飼い主の方の生活環境等を踏まえ、さらに飼い主の方に伝えることが出来る専門家の存在が必須になってくるだろう。

ここ Vancouver にも同じように SPCA というシェルターが存在する。

New York ほど、システムは確立していないが、あらゆる動物のケアーしており、スタッフの意識はやはり高い。私は、まずここで里親を待つ犬たちと関わってみようと思っている。今後のシェルターの役割を想定して、まずは今自分が出来ることに努めてみたい。

そして、いつか日本の保健所の犬が「ゼロ」になるように、これから ドッグトレーナーとして出来ることについて、考えてみたいと思っている。

まずはそのための第一歩から。
「週末だから保健所の犬に会いに行ってみようか」
こんな会話が自然に交わされる日が来る日を楽しみに。

(2005.10.03)

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